はじめに
我が子が頻繁に授乳を必要とする時期、外出はいつも綱渡りでした。2〜3時間おきの授乳。予定を立てても、赤ちゃんのペースには勝てません。外出する際は、常に車を停める場所に気を配っていました。授乳室がない場所では、車に戻って授乳をするしかなかったからです。
真夏の蒸し暑い日、真冬の凍える日。車の中で授乳をしながら、「汗をいっぱいかいてるなぁ、あせもにならないだろうか…。」「寒い…このまま風邪を引きそう!」とモヤモヤしたことは、一度や二度ではありません。致し方なく授乳室以外で授乳を続けるうち、私は「授乳って、こんなに場所に左右されるのだ…」ということを痛感するようになったのです。
公園や車の中で授乳をした日のこと
外出先で授乳のタイミングが来ると、私はまず周囲を見回して授乳室を探します。しかし、公園や街中では見つからないことの方が多く、結局は車に戻ることになります。駐車場の場所を選ぶのも一苦労でした。人通りの少ない奥まった場所でありながら、暗すぎない場所。そんな条件を考えながら、いつも車を停めていました。
真夏のある日、公園に出かけた帰りに車内で授乳をすることになりました。エアコンをつけても、直射日光が当たる車内はすぐに蒸し暑くなります。私は汗だくになりながら授乳をし、「赤ちゃんは大丈夫かな、あせもにならないかな?」と心配でたまりませんでした。窓を少し開けても、風はほとんど入ってきません。我が子の小さな額に汗が浮かんでいるのを見て、胸が痛みました。
冬には別の苦労がありました。寒い車内で暖房が効くまでの時間が長く感じられます。寒さで体が震え、「このまま風邪を引きそう」と不安になりながら授乳を続けました。赤ちゃんをブランケットで包んでも、冷たい空気は容赦なく入り込んできます。授乳が終わる頃には、私の体は芯から冷え切っていました。実際、この時期は何度も体調を崩しかけました。
モール・商業施設での戸惑い

大型ショッピングモールなら授乳室があるはず。そう思って出かけた日のことです。確かに授乳室はありました。ところが、フロアマップで確認すると、今いる場所から反対側の端にあったのです。赤ちゃんはすでにぐずり始めていて、「間に合うかな…」と焦りながら急ぎました。エレベーターを待ち、フロアを移動し、やっとたどり着いた頃には、赤ちゃんは大泣き。私も汗だくで息が切れていました。「もっと近くにあれば」と、切実に思いました。
別の日には、授乳室が見つからず、仕方なくトイレの個室で授乳ケープを使って授乳をしたこともあります。衛生的にも気持ち的にも抵抗がありましたが、他に選択肢がありませんでした。
安心できた授乳室での経験
ある日、友人に勧められた市の子育て支援センターに立ち寄りました。そこには、明るくて広い授乳室がありました。ゆったりとした椅子、調光された照明、適度な室温。そして何より、誰にも気を使わなくていい空間。車内で授乳をしていたときは、暑さや寒さ、周囲の目が気になって、赤ちゃんの表情をゆっくり見る余裕もありませんでしたが、ここでは違いました。私は初めて、赤ちゃんの顔をじっくり見つめながら、「ちゃんと飲めている。」と安心できたことを覚えています。そして我が子も、いつもより穏やかな表情で、落ち着いている様子だったのです。きっと快適な環境は、赤ちゃんにもちゃんと伝わっているのだなと思いました。
授乳が終わった後、私は不思議と満たされた気持ちになっていました。「ああ、こういう空間があるだけで、こんなに違うのだ。」車の中で汗をかきながら、寒さに震えながら授乳をしていた日々と比べると、その差は歴然でした。授乳室は、私にとっても我が子にとっても、便利な場所という言葉では言い表せないくらいに「安心できる空間」だなと思えました。
なんとかなるけど、落ち着かない
外出を重ねるうちに、事前にネットで授乳室の場所を調べたり、授乳ケープを常に持ち歩いたりできるようになり、私は授乳の場所を確保したり、赤ちゃんの様子に合せてすぐに授乳をするコツを覚えていきました。そのため、それで確かに「なんとかなる」ようにはなったのです。しかし、授乳室がない時には、周りを気にしながら慌てて授乳をしなくてはいけませんでした。確かに、授乳は案外「どこでもできる」ものではありますが、実際にするとなると「落ち着いて授乳ができる」「安心して外出ができる」ということとは大きく違っていました。落ち着いて授乳ができる場所があれば、私は安心して我が子と向き合うことができます。授乳という行為そのものよりも、授乳ができる空間があるかどうかが、私の心の余裕を大きく左右していたのです。
終わりに:授乳室があることの意味
授乳室があることで、ママも子どもも安心して外出できると感じます。すべてのママが気兼ねなく外出できる社会になってほしい。授乳室がもっと増えて、より分かりやすく案内されるようになってほしい…そう願っています。
この記事を書いた人
- 保育経験や育児経験、起業経験を元に、子育てやビジネスに関する記事を中心に執筆しています。また、撮影も行う取材ライターとして、飲食店オーナー様や起業家様の元へ赴き「人の実体験から生まれるストーリー」を発信するお手伝いをしています。子育て世代に向けて、体験を通して学びを深める活動にも力を入れています。
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