ミルク育児のリアルと授乳室の存在感——地方での子育て体験から

こんにちは。地方に住むアラフォーママのともよです。
難病の娘との別れや不妊治療を乗り越え、ようやく息子を授かりました。地方での子育ては、優しさと支援のはざまで揺れる毎日です。
「ちゃんとできてるかな?」と自分を責めがちな私が感じた子育て支援や授乳環境、そしてその中で見つけた“安心”についてお話ししたいと思います。

地方でも子育て支援は広がっている。でも「親の孤独」はまだある

10年以上前、私は会社員として働いていました。「経済的に自立してこそ、自分らしく生きられる」と信じて、夫と共働きで将来を描いていた日々。
ですが、娘が難病で生まれたことで一変しました。
地方では医療的ケア児の保育園がほとんどなく、私は退職して娘の看病に専念しました。都市部で広がる支援の仕組みをただ羨ましく感じていたのを今でも覚えています。娘は4歳6ヶ月で旅立ち、その深い悲しみの中、不妊治療を経てようやく息子を授かりました。

子育てサークルや支援センターは、最初ちょっと居づらかった

息子が生まれて、今度こそ大切に育てたいと願い、支援センターや子育てサークルに何度か足を運びました。迎えてくれた人たちはみんな温かく、笑顔で接してくれました。
でもどこか居心地の悪さを感じてしまい、周りが楽しそうな中、自分だけ取り残されたような感覚になることもありました。
それはきっと、自分の心の問題だったのかもしれません。
けれど「支援の場があるのに行けない」という壁は、私にとって大きかったです。
少しずつ息子との関係が変わり、私自身も前を向けるようになると、サークルは安心して挑戦できる場所に変わりました。気づけば自然に「卒業」していたんです。

ミルク育児で焦った日々、授乳室のありがたさ

私は混合育児からミルク育児に切り替えました。
外出時には、お湯の準備や調乳スペース探しに、気持ちのどこかでいつも焦ってしまっていたのも本音です。赤ちゃんが泣くと、私もバタバタと右往左往してしまうことも、やはりありました。
直接冷たい視線を感じたことはありませんが、「ちゃんとできてる?」と見られているような静かなプレッシャーを感じていました。
液体ミルクにも何度も助けられましたが、毎日使うには経済的な負担があり、常用は難しかったのが正直なところです。
その場に授乳室があるかどうかだけで、安心感がまったく違います。
まだまだ授乳室の数や場所が十分でない地域もありますが、育児中の親にとって必要な環境のひとつだと強く感じています。

今は「ちゃんとできてる?」の視線が、自分の中にあるかも

息子が2歳になり、赤ちゃんの頃とはまた違った戸惑いが出てきました。ミルク育児の頃の焦りは少し落ち着いたと思っていたのに、今は「元気すぎて周りに迷惑をかけてないかな?」と気にしてしまいます。
誰かに責められたわけでも冷たい言葉をかけられたわけでもありません。
ただ、自分の中の「ちゃんとしなきゃ」という思いがふと顔を出すのです。
ようやく自分を大切にすることの意味がわかってきたけれど、すぐに力を抜くのはまだ難しい。自分をいたわりたい気持ちと「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちが、心の中でせめぎ合っています。

子どもと離れて働くことが、私の安心につながった

長女を亡くした経験から、「今を大切にしたい」という思いは強いです。でもそれに縛られすぎると、自分が苦しくなることもあります。
夫の幼なじみの話が私には大きな意味を持っています。そのお母さんは、子どもを亡くしてから「もう誰も失いたくない」と日中ほぼ毎日、学校の下駄箱に靴があるかを確認しに行っていたそうです。
ですが息子さんが思春期になると、「もう来ないで」と言うようになったといいます。
その気持ちも言葉も、どちらも痛いほどわかります。
心配と手放す不安、その間で私も“ちょうどいい距離感”を模索しています。

地方で感じた、やさしさと“足りなさ”

地方にはやさしさがたくさんあります。
横断歩道で車が止まってくれたり、電車で席を譲ってくれたり、スーパーで声をかけてくれたり。
でも支援の“手の届きにくさ”も同時に感じてきました。
とくに授乳室やミルク用のお湯、落ち着けるスペースの有無は、安心感に直結することを実感しています。
外出しやすい環境があるだけで、心の余裕がずいぶん違うのです。

完璧じゃなくていい。子育て支援は「安心の輪」であってほしい

今は「自分の時間も大切にしながら子育てを」という風潮があります。
それは素敵なことですが、同時に「そうしなきゃ」と感じて窮屈になることもあります。
笑える日もあれば、泣きたくなる日もある。
迷いながら悩みながら、それでも子どもと向き合っている姿は十分です。
だからこそ育児支援は「特別な誰か」ではなく、「誰にとっても」安心できる場であってほしい。
授乳室のような小さな場所が、大きな安心につながる。そんな社会を心から願っています。
安心してミルクをあげられる場所が、もっと増えたらいいなと感じます。
そんな環境を少しずつ広げてくれる取り組みや施設に、これからも期待しています。

この記事を書いた人

ともよ
ともよ
長女を難病で亡くし、喪失と不妊を経て、息子を育てる日々。会社員から専業主婦、そして現在はフリーランスママへ。迷いながらも子どもとの時間を大切にし、リアルな育児の声や小さな幸せを綴っています。
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