親は子を育てているつもり、でも本当は育てられている

親になるということは、きっと学び続けることなのかもしれません。

「子育ては、親が子どもを育てるもの」――そう思っていたはずなのに、気づけば私のほうが子どもに育てられていました。

子どもが生まれる前、私は「どんなふうに育てようか」「どうやって関わっていこうか」と考えながら、たくさんの育児本を読み、情報を集めていました。けれど、実際に子どもと向き合うと、思い通りにはいかないことばかりで、そのたびに戸惑い、試行錯誤の連続でした。

それでも、親として悩みながら、迷いながら、少しずつ成長していく――そんな私の子育ての経験をお話ししたいと思います。

一人目の子育ては不安との戦い

初めての子育ては、不安ばかりでした。

長女は病気を抱えて生まれ、発達の遅れは避けられないと理解していました。それでも、私は「健康に産んであげられなくてごめん」という気持ちが消えず、成長の遅れを見るたびに罪悪感が募りました。

「〇カ月なら〇〇ができるはず」

育児書に書かれた発達の目安を見ては、「この子はまだできない」と落ち込み、焦る日々。できないことばかりに目が向いてしまい、「この子の未来はどうなるんだろう」と不安に押しつぶされそうになっていました。

でも、長女はそんな私の心配をよそに、自分のペースで少しずつ成長していきました。寝返りができるようになったのは、やっと病状が落ち着いた12カ月のとき。7カ月の頃には、私と目を合わせてほほ笑んでくれるようになりました。

その笑顔に、どれほど救われたか分かりません。

「子どもって、親が思うよりずっと強いんだ」

そう気づいたとき、私は初めて「この子の成長を、そのまま見守ればいいのかもしれない」と思えるようになりました。

長女が教えてくれたこと

長女は、成長のペースこそゆっくりでしたが、そのたびに確かに「できること」を増やしていきました。小さな一歩を積み重ねるたくましさに、私は何度も勇気づけられました。

けれど、それと同時に、長女の未来を思うと胸が締めつけられるような思いもありました。

「この子の人生はどうなっていくんだろう」

そう考えると、不安ばかりが押し寄せてきて、前を向くのが難しい日もありました。

それでも、長女は毎日を懸命に生き、笑い、成長していました。できることが少しずつ増えていくその姿を見て、私はようやく「この子はこの子のままでいい」と思えるようになりました。

しかし、そんな日々は長くは続きませんでした。

長女が旅立ったとき、私は「もっと早く、この子の成長を純粋に喜べていたら」と後悔しました。

「大丈夫だよ」「そのままでいいんだよ」

もっとたくさん、そう伝えてあげたかった。けれど、その思いはこれからも私の中で生き続けていくのだと思います。

長男の誕生が教えてくれたこと

長女を失った悲しみの中で、長男が誕生しました。

長男は、すくすくと月齢どおりに成長し、夜泣きもほとんどありませんでした。いわゆる「育てやすい子」だったのかもしれません。

もし長女の経験がなかったら、私は「子どもはこう育つもの」と思い込んでいたでしょう。

でも、長女が教えてくれました。

「どの子にも、それぞれのタイミングがあるんだよ」

だからこそ、私は長男の成長を純粋に喜ぶことができました。「早い・遅い」にとらわれるのではなく、「この子がこの子らしく育っていること」を見守れるようになったのです。

ただ、正直なところ、長男の成長が順調すぎて複雑な気持ちになることもありました。

長女と過ごした日々は、私にとってかけがえのないものでした。だからこそ、長男がすんなりと成長していく姿を見て、長女と一緒に積み重ねてきた日々を否定されたように感じることもあったのです。

でも、それもまた、長女が教えてくれたことのひとつでした。

「思い通りにならないことにも意味がある」

過去は過去であり、それ以上でも以下でもない。今をよりよく生きることが大切なのだと、長男の存在が気づかせてくれました。

子育ては「親育て」だった

長男と過ごす中で、私は「ゆったりと子どもと向き合うこと」の心地よさを知りました。

「こうしたい、しなきゃ」と力を入れすぎるのではなく、「こうしてみようかな?」と肩の力を抜いてみる。そうすると、子どもの笑顔がもっと増えて、気づけば自分も笑っている。

子どもは親を成長させてくれる。

私も、子どもと一緒に少しずつ育っているのかもしれません。

子どもの未来を思い、探しているあなたへ

子どもと過ごす日々は、決して思い通りにはいきません。けれど、その分、たくさんの発見と喜びがあります。

もし、かつての私のように「子どもとどんな未来を歩めるのか」と悩んでいる人がいたら、伝えたいです。

大丈夫、子どもはちゃんと育っていきます。

そして、その過程で、親も一緒に成長していくのだと思います。

今日も、親子で一緒に育っていきましょう。

この記事を書いた人

ともよ
ともよ
一児育てるアラフォーママ。長女の看取りを経験、母として最後まで看病できたことが心の支えです。現在は、二人目である長男を自宅保育しながら、副業としてライティングに挑戦中。大学で食品加工を学び、前職は農作物の製品開発に従事。レシピ記事の執筆経験があり、食に関することが得意です。
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