授乳期のママが抱える悩みとは?
授乳期のママにとって、「母乳で育てるべき?」「ミルクは赤ちゃんにとって大丈夫?」という悩みは尽きません。特に、今もなお「完全母乳が理想」というイメージが強く、母乳が思うように出ないことでプレッシャーを感じるママも少なくありません。
筆者自身も、子どもが生後2ヵ月頃まで母乳とミルクを混合で与えていましたが、当時は同じような悩みを抱えていました。筆者の場合は、次第に母乳のみでも足りるようになっていたので、最終的には母乳育児になりましたが、振り返ると「ミルク栄養」に頼った方が良かったなと思う瞬間が多々ありました。
この記事では、筆者の経験をベースに、赤ちゃんとママの幸せ育児を助けるため、「ミルク栄養」のメリットや捉え方などをお伝えしていきます。
心の中の「母乳」と「ミルク」論争

「母乳は、赤ちゃんの免疫力を高める「免疫グロブリン」や、脳の発達を助ける「DHA」などが含まれています。一方、粉ミルクも近年の研究により母乳に近い成分バランスを実現し、消化吸収を考慮した設計がされています」(厚生労働省, 2022)とあるように、母乳によるメリットはあるものの、近年では粉ミルクでも母乳に近い栄養バランスがとれるようになってきました。
母乳には、ママとの触れ合いの時間になる、母乳で免疫が移行するなどのメリットがあると言われています。筆者もこのことが頭にあり、授乳を始めたての頃は「母乳で育てた方が良い」という考えが強めでした。しかし、実際には最初の頃には授乳が上手くいかず「混合育児」としてミルク育児も取り入れていました。結果的に完全母乳に移行していきましたが、今振り返ると母乳にこだわらず「混合育児」でよかったなと思うのです。なぜなら、ミルク育児を取り入れたことで、特に頻回授乳が必要な時期には身体の負担や栄養面での心配が軽減され、心にもゆとりがもつことができたためです。
当時は、毎日のように「母乳とミルクどちらがよいのか…」と心の中で論争が繰り広げられていましたが、次第に無理なく育児をしていける「混合育児」がいいかもしれない…と落ち着いていきました。そう思えた矢先に、意図せず我が子の哺乳瓶拒否によりミルク育児が終わりを迎え、完全母乳に移行したのですが…。
ミルク育児のメリット

それでも「ミルクで栄養が補給できるといいのに…」と思うタイミングは多々ありました。まず、場所を気にせずあげられるということが大きなメリットです。遠出する際には授乳できる場所を探さなくてはいけないことです。最近では、ショッピングモールや駅、公共施設などに簡易設置型の授乳室が増えているため、授乳する場所を探す心配が随分減ってきたように思います。これにより、以前よりは気軽に外出できるようになってきました。しかし、それでも行ったことがない場所に行くときには不安がつきものです。
また、ママがリフレッシュしたいなと何とか時間を作り、友達とランチに行ったとき「ちょっと授乳してくるね」と楽しい時間が中断…筆者自身、ショッピングモール内で授乳タイムになってしまうと、お店から離れた場所に授乳室があり移動して飲んでもらって戻ってくる一連の流れがプチストレスになっていました。ミルク育児であれば、その場でも栄養補給ができて、赤ちゃんも一緒にお食事タイムを楽しめます。
そして、ママの代わりに栄養をあげられるということが、ミルク育児の最大のメリットだと思います。パパや祖父母も栄養を与えることができるため、育児の負担が分散されます。身体が限界で誰かに授乳を変わって欲しい時や、どうしても預けなければいけない時に、授乳を変わってもらうことができるはとても助かりますよね。
また、近年頻繁に起こる自然災害はいつ身近で起こるか分からないものです。我が子を連れて避難、そして避難所生活を想定しておくことも大事なことだと痛感しています。プライベートな空間が守られる授乳室が簡易的にもあれば良いのですが、難しい時にはミルクを飲んでもらう場合もあるかもしれません。また、ママが感じるストレスで母乳の量が減ってしまう場合も想定されます。そうした際に、ミルクでの栄養補給ができるようにしておくことは活躍してくれることと思います。
「母乳 vs ミルク」のプレッシャー
「母乳じゃないとダメ?」と感じるママは少なくありません。筆者自身も、最初の内は周りから「母乳じゃないの?」「免疫が…」「頑張って母乳であげられたらいいね」と言われることもありました。最初はその都度、ミルクをあげていることに罪悪罪を抱いていたのですが、1ヵ月検診でお世話になった先生や看護師さん、そして同時期に子育てしていた友人から「ミルクも全然大丈夫!」「ママが不安にならない方法が一番よ!」と言われて、ほっとしたことを覚えています。
日本小児科学会(2021)でも、「母乳育児が難しい場合は、ミルクを適切に活用することが大切」とされています。改めてお伝えすると、母乳とミルク、どちらが正解ということはなく、最も大切なのは「赤ちゃんとママが無理なく笑顔で過ごせること」です。
赤ちゃんとママが幸せになれる授乳スタイルを見つけよう
育児に関する考え方は、人それぞれです。そのため周囲からは、ミルク育児だと「ママとの触れ合いが足りなくなる」「免疫つかないんじゃない?」と言われてしまうこともあるでしょう。しかし、生活スタイルや自分たちの考え方によって、家族ごとに合う授乳スタイルは異なると思います。その中の選択肢のひとつであるミルク栄養も、赤ちゃんの成長を支える大切な選択肢の一つです。母乳とミルク、どちらを選んでも、最も大切なのは「赤ちゃんが健やかに育ち、ママが笑顔で育児できること」だと思います。「ミルクで摂る栄養」は、赤ちゃんとママの「幸せ育児」を助ける手段として捉え、その分「他の大人との触れ合いが増えているんだ」「代わりに我が子と遊ぶ時間をたっぷりとるぞ~」「免疫はこれからついていくもの。そうして強くなっていくんだ」と前向き考えて、目の前の大切な我が子と過ごすかけがえのない時間を笑顔で楽しく過ごしていきたいですね。
引用文献
厚生労働省 (2022). 乳児用調製粉乳の安全性に関するガイドライン.
日本小児科学会 (2021). 母乳栄養と乳児用ミルクの適切な活用に関する提言.
WHO(2019).Breastfeeding and Infant Nutrition Guidelines.
この記事を書いた人

- 保育経験や育児経験、起業経験を元に、子育てやビジネスに関する記事を中心に執筆しています。また、撮影も行う取材ライターとして、飲食店オーナー様や起業家様の元へ赴き「人の実体験から生まれるストーリー」を発信するお手伝いをしています。子育て世代に向けて、体験を通して学びを深める活動にも力を入れています。
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