子育ての仕方には、その時々の時代やブームがある
そんなことを、上の子を育てた経験から、二人目の長男を育てるなかで実感しています。およそ9年の間で、子育てを取り巻く環境がここまで変わったことに驚きました。以前は、少しでも子育てへの弱音を吐いたら「お母さんになったんでしょ!」と叱咤されていましたが、今は共感してもらえることが増えました。SNSでも「無理をしない育児」を推奨する投稿が多く、ママやパパが子どもだけでなく自分自身も大切にする風潮が広まっています。
今のママやパパたちは、きっとその変化を当たり前に受け止めていると思います。でも、振り返ると、本当に子育てをする親に優しい時代になったなあと感じることがたくさんあります。
頑張らなくていい、と言われても
私自身、上の子を育てたときは「頑張らなきゃ」と思う気持ちが強く、毎日子育てに全力投球していました。けれども、そうやって全力で頑張るなかで、自分を追い詰めてしまったこともたくさんありました。今振り返ると、無理をしていたことがわかります。
現在は「頑張らない育児」や「親が無理をしないことの大切さ」が広く認められるようになり、少しずつ肩の力を抜いて子育てをする流れができてきています。私は長男を育てるうえで、その考え方を取り入れながら、今日は料理するのは大変というときは、切っただけで食べてくれる好物のトマトやバナナ、市販のベビーフードを取り入れるなど「無理をしない育児」を心がけるようになりました。
でも、だからこそ感じることがあります。「頑張らない育児」が正しいと言われる今の時代に、「じゃあ、かつて全力で頑張ってしまった私は間違っていたの?」と思う瞬間があるのです。
全力で子どもと向き合った日々

重い病気をもつ上の子との日々を振り返ると、本当に大変でつらいことが多かったです。それでも、最後まで娘のためにできる限りのことをしたいと思い、全力で向き合ってきました。
娘は生まれながらにして健康に恵まれなかったため、私は母親として「健康に産んであげられなくてごめんね」という思いをずっと抱えていました。それでも、「この子に生きてほしい」という気持ちだけで、懸命に頑張りました。
もちろん、無理をすることで余計なストレスを与えてしまったこともあるかもしれません。それでも、娘が亡くなる前、最後に見せてくれた満面の笑顔は、私にとって何ものにも代えがたい宝物です。彼女はその笑顔で、私をまるごと肯定してくれた気がしました。「あなたが私のお母さんでよかったよ」と言ってくれているようでした。
その瞬間、私は初めて「頑張ってよかったんだ」と思えたのです。
自分を大切にする子育てへ
今の私は、かつての自分とは少し違う気持ちで子育てと向き合っています。長男には「頑張りすぎない、ゆったり育児」を心がけており、プレッシャーを感じることがだいぶ少なくなりました。それは、二人目だからこそできる心の余裕もありますが、私自身が少しずつ変わってきたのだと思います。
ただ、無理をしない育児を実践する中でも、『たまに「自分は十分に頑張れていないのでは?」と』感じることがあります。そんなとき、私は長男と過ごす日々の中で彼が見せる笑顔や、日々の小さな成長に救われています。
そして、自分を大切にすることが、結果として子どもにとってもプラスになるということを学びました。子どものことも大切だけれど、1日10分でも自分だけの時間を確保し、好きなことをする、そんな時間は絶対に大切です。たとえば、お気に入りのハーブティーを飲みながら、本をめくる時間。それだけで、心に余裕が生まれるのです。
だから、今のママパパさんたちには、無理をしない子育てをぜひ取り入れてほしいと思います。そして同時に、「自分のやり方」を否定せず、自分の気持ちにウソをつかないでほしいとも思います。
子どもが教えてくれたこと

子どもたちは、本当にたくさんのことを教えてくれます。ときにはちっとも寝る気配がなく夜中まで元気で親はヘトヘトで寝不足、しっかり栄養をとってほしいのに飲んでくれない、食べてくれない……そんな現実に直面し、挫けそうになることもあるでしょう。でも、そのなかで気づかされることや学ぶことが、親としての私たちを育ててくれます。
長女は「全力で生きる」ことの大切さを教えてくれました。そして長男は「肩の力を抜いて楽しむこと」の素晴らしさを教えてくれています。それぞれの子育てを通して、私は少しずつ世界の新しい見え方を手に入れてきました。
どちらの子育ても正解でした。そして、どちらも私にとってかけがえのないものです。
最後に
これからも時代とともに、子育ての方法や価値観は変わっていくでしょう。それでも、どんな時代であっても、親が子どもを思う気持ちは変わりません。そして、ママやパパが自分を大切にしながら育てた子どもたちは、きっと幸せを感じられるはずです。
どうか、自分自身を否定せず、今の子育てを誇りに思ってください。そして過去の子育てを振り返るときも、そこに込めた愛を思い出してほしいのです。
子どもが教えてくれる世界の新しい見え方を、大切に育てていきましょう。
この記事を書いた人

- 一児育てるアラフォーママ。長女の看取りを経験、母として最後まで看病できたことが心の支えです。現在は、二人目である長男を自宅保育しながら、副業としてライティングに挑戦中。大学で食品加工を学び、前職は農作物の製品開発に従事。レシピ記事の執筆経験があり、食に関することが得意です。
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